ALSと青森で自由に生きる。

難病ALSになった30代女性が、地元青森県で自由に生きるための試行錯誤と実践を記す。制度等はあくまでも青森県の場合です。

意思伝達装置とは?

どうも、もっちーです。

青森でもオミクロン株による感染拡大が続いております。

毎日感染者過去最大というニュースを見ると気が滅入りますよね。

でももうひと踏ん張り、うつさない・もらわない対策をして収束まで耐えましょう。

 

さて、今日は私の生活必需品である『意思伝達装置』についてのお話です。

私は手が不自由で、スマホもパソコンも指を使って操作することはできません。

では今この文章はどうやって入力しているのか?というと、意思伝達装置の視線入力パソコンを使っています。

それがどういうものなのか?手元に届くまでの流れ、また私が使用している機種について紹介したいと思います。

 

意思伝達装置とは?

人と人がコミュニケーションをとる際に必要なものは言語ですね。

話せる人同士は口語を介してのコミュニケーション。

話せない人や聞こえにくい人は文字や動作を用いたコミュニケーション。

では話せない&書けない&動けない人は、どうしたらいいのか?

そのような障害を持つ人たちが用いるコミュニケーションツールが、意思伝達装置です。

意思伝達装置にもいろいろな種類があって、

  • 文字盤の中の文字や伝えたいことのシンボルマークなどを、ボタン等で選択して伝えるタイプ
  • パソコン等の機器に組み込まれた👆のようなソフトを視線やスイッチなどで動かして伝えるタイプ
  • 脳波などを利用してyes、noを伝えるタイプ(これすごい)

というようなものがあります。

私をはじめ、TwitterやブログなどのSNSで積極的に発言したり、講演や会社経営など様々な社会的活動をされている方の多くは、二番目に記載したタイプを用いているかと思います。

 

喋りが不自由になるほど強く感じる、円滑なコミュニケーションの重要性。

伝わらないとはこんなに困るものなのかと毎日感じています。

意思伝達装置はそんな生活する上で欠かせないコミュニケーションを助けてくれる重要な装置です。

ですので車いすや義肢などと同じように、補装具として市町村に申請すると公費が支給され、負担割合が少しで購入することが出来ます。

ありがたいです。

 

どの機種を選ぶべき??

10年くらい前はそれほど選択肢がなかったと聞いていますが、今はありすぎてどれを選べばいいのか迷ってしまうくらい、たくさんのメーカーさんから発売されています。

私もどれにしようかと、先輩患者さんやリハの先生をやっている友人におススメを聞き、各メーカーのHPとにらめっこしながら考えました。

ですが、一つひとつ調べるのは大変!

まとめサイトないの?!と思っていたら、ちゃんとありました。

リンクを貼っておきます。

 

東京都障害者IT地域支援センターHPより

www.tokyo-itcenter.com

 

日本リハビリテーション工学協会の「重度障害者用意思伝達装置」導入ガイドラインHP内より

rel.chubu-gu.ac.jp

 

どの機種にも特長や得意不得意がありますね。

会話の機能はもちろんメインなので使いやすさが重要ですが、その他に主に何の機能や特長を求めているのか?

例えば普通のパソコンとしてWindowsを使いたいのであれば、その操作性が良いものが良いでしょうし、外出先で使いたいならタブレットタイプが良いでしょうし。

これをよく考えて選ぶと良いと思います。

また忘れちゃいけないのが使う方(本人+介助者)がどのくらいPCを使えるかです。

せっかくの便利なツールなのに、使いこなせなくては全く意味がないですからね。

業者さんとよく相談して、デモ機が借りられるなら借りて試して決められると良いと思います。

 

私が選んだのはOriHime eye

私はどうやって選んだのかというと...

  • 文字盤が見やすい
  • Windows使える
  • エステーション(事前に声を保存しておき、そのデータから自分の声そっくりな合成音声で文章を読ませることが出来るアプリ)が連携できる
  • 分身ロボットOriHimeを接続していろいろやってみたい

という基準でした。

miyasukuか迷いましたが、オリヒメちゃんで全国回っていろんな人と話したいなーという夢が膨らんでしまい...

そのままデモ機を試して良ければ決めようということにしました。

 

メーカーに問い合わせ、地元の代理店を紹介してもらったところ、なんと本物の機種がかかりつけの病院にあるとのことで!

さっそく通院日に体験させてもらいに行きました。

担当のSTさんに使い方をレクチャーしてもらい、初めての視線入力にチャレンジ。

わいは~、目からビームだじゃ!

(訳:あら~、目からビームみたいね!)

これが初めて使った感想。

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初めて視線入力を試した日のイラスト

その後、胃ろう造設の入院があり、その期間で視線入力に慣れましょうということで、オリヒメアイの利用をさせてもらいました。

最初は頭を動かさず視線だけキョロキョロと動かすのに慣れず、くそ~!と思うこともありました。

が、3日も使えば慣れるものです。

退院するころにはデスクトップにYouTubeTwitterが並び、もうなくては困るレベルに使いこなしてました。

それもこれも体験とは言え、実際に家で使うことを想定し、すべての機能を試せるようにとインターネットやメールの設定をしてくれたSTの先生のおかげです。

あと、意思伝達装置の重要性を早くに考え、患者さんが病院で体験できるようにと購入していてくれた先生方、病院にも感謝です!

 

というわけでオリヒメアイの購入を決めました。

 

補装具として申請し、手元に届くまで

購入するのに必要なのは他の補装具と同じで、

  • 申請書
  • 医師の意見書
  • その他申請に必要な書類(業者さんが教えてくれます)

です。

その一式を市町村に提出し、支給されるかどうかの審査会を経て、支給決定となるまで

2か月半、そこから業者さんが機材一式を発注して半月、手元に届いたのは申請から3か月後でした。

機種選びや体験も入れると4か月です。

あと、私は入院中に医師の意見書をサクッと書いてもらえましたが、これは先生次第ですからね...時間がさらにかかる場合もありそうです。

毎度のことながら、時間かかる...!

でも補装具として申請して自己負担を減らすため。いたしかたなし...

なのでコミュニケーションに困難を感じ始めたら、早めに動いておいた方がよさそうですね。

ちなみに今回の自己負担ですが、私は非課税世帯なので0円でした。

(前年度の課税状況で自己負担額は変わります)

ありがたく使わせていただきます!!

 

実際に使用している様子

私は視線入力だけでなく、スイッチも併用しています。

文字盤から文字を選んだりする、パソコンやスマホでいうカーソル移動は視線で。

決定(クリック)はスイッチで。

画面を凝視する時間も短くて目が楽で、何よりボタンの連打などの操作がスピーディーにできるのがストレスがないです。

実際に操作している様子はこちらです。

いかがでしょうか?

スマホの入力と同じくらいのスピードでしょう?我ながら器用。笑

オリヒメアイがうちに来て、出来る事が広がりました。

会話、メール、LINE、TwitterYouTube、ネットサーフィン、文書作成、画像処理などなど。

今は視線入力で絵を描く練習をしています。

オリヒメも機会があったらログインして操作してみたいなぁ。

 

スマホのように持ち運んで使えないのは難点だけど、複雑な会話がスムーズに出来るようになったことは最高に嬉しいです。

あと合成音声だけど自分で喋っている感があって、それもとても嬉しい。

出来ないことが増えていくこの病気で悩み苦しむ中、このように以前のように自分で何かを出来るようになるということは本当に嬉しいことです。

病気にはなりたくなかったけど、唯一の救いはこのテクノロジーが進歩した時代に罹患したことですね。

時代とともに私ももっと視線技を磨いて進化せねば!

 

以上、意思伝達装置についてのお話でした。

最後まで読んでいただきありがとうございます♪

へばの~。